石見が斬る! X線天文衛星「ひとみ」の悲劇

<まえがき>
今回のブログは過去の出来事を
チームビルディングの観点から一部推測を交えて
お話するものであり、当内容の直接的な原因を
述べるものではなく保証するものでもありません。
– – –

今日は

石見が斬る!
X線天文衛星「ひとみ」の悲劇


という話をしたいと思います。

X線天文衛星「ひとみ」は
JAXA(宇宙航空研究開発機構)の
ISAS(宇宙科学研究所)を中心に
国内外約180人の研究者と
連携しながら進めていた
国際協力ミッションでした。

2016年2月17日
種子島宇宙センターから
打ち上げに成功した
「ひとみ」でしたが

翌月、3月26日
本番観測運用を開始する直前に
機体分解事故が発生し
終了してしまったプロジェクトです。

無人衛星ですので
人的被害はなかったんですが
日本が出資した開発・打ち上げ費
として310億円を失う
手痛い事故になりました。

直接的な原因は衛星の姿勢を
制御する装置の不具合に起因して
異常回転が起こったことだと
言われていますが

事故報告書では
プロジェクトの管理方法・方式
そもそも問題があったと言って
いるんですよね。

JAXAは、2003年に
・旧NASDA(宇宙開発事業団)
・旧ISAS(宇宙科学研究所)
・旧NAL(航空宇宙技術研究所)の
3機関がひとつになった
国立研究開発法人で

「ひとみ」プロジェクトは
JAXAの一部として統合された
旧ISAS(現在のISAS)が
中心的役割を担っていました。

2016年当時、もちろん
既にJAXAの標準とする
プロジェクト管理方式も
あったようですが

このプロジェクトでは
ISAS独自の方式が採用
されていたそうです。

実は、ISASの前身は国内大学の
共同研究開発機関でした。

「ひとみ」は
国内外の多くの大学の研究者らと
連携するプロジェクトでしたから

大学共同研究に原点に持つ
ISASが中心となって進めることや

ISAS独自の管理方式を採用する
ことは、当時必然だったのかも
しれません。

では、このISAS方式
どうしていけなかったんでしょうね?

それは

勝ちパターンを無視してしまった

ということなんじゃないかな
というふうに思うんですよね。

JAXAも研究機関ですから
目的は科学の発展にあるわけですが

とりわけISASの管理方式はその原点により
新しいものを発見したり・開発したり
今あるものをさらにどう良くするか
ということが前提にあったようです。

もちろん、システムの安全性との
両輪を追及するべきものと
言ってはいたんですけども

その危機意識レベルは、研究成果を
得るための目標(通過点)でしかなかった...

実際、事故報告書には
『今後の具体的な対策について』の中で
次のように書かれています。

「科学を目的とするISASの宇宙機において
 システムの安全性を優先することと
 していたが

 特徴ある観測機器等の課題解決にも
 重点がおかれ、結果として
 懸念事項の網羅的な審査や管理が
 十分にできなかった。」

つまり、機能の開発が優先され
安全性が疎かになってしまったと
言っているんですね。

推測ですが、このような意識の問題は
本プロジェクトにはじまったことでは
なかったんじゃないかなと思っています。

それでも、このISAS方式が過去に
事故を起こさず実績をあげてこられたのは
事故原因を未然に排除できる
仕組みがあったからでしょう。

でも、今回機能しなかった...

なぜか?

事故報告書は
ISAS方式では、本プロジェクト
の規模・複雑さをまとめることが
できなかったと言っているんですよね。

「ひとみ」プロジェクトは国内大学との
共同研究とは比にならない規模でした。

人材力 → 組織力 → 関係力
 ↑____________________↓

のチームビルディングの
3つの視点でいうと

《人材力》
優秀な人材はたくさんいたと思います。

《組織力》
国際協力という点や出資をみるに
このプロジェクトの目的・目標は
明確だったと思います。

しかし、

《関係力》
ここが欠けてしまったんじゃ
ないでしょうか?

結果、各々が果たすべき役割が
明確でなく、責任の所在が曖昧に
なってしまい、次のような
不備が重なり事故を起こしてしまった...

(以下、事故報告書から部分的に引用)

<設計フェーズの課題>
・より良い観測条件を確保する要求は
 詳細である一方、安全・信頼性に
 関する要求が少なく、システム
 としての安全性を欠いた。
・設計審査会等での懸念事項を網羅的に
 管理できなかった。

<運用フェーズの課題>
・衛星の初期運用段階のリスクを
 過小評価していた。
・運用計画書、手順書・マニュアル、
 要員の訓練等の運用の準備に対する
 重要性を過小評価して、計画書や
 手順書の整備や運用訓練が
 不十分だった。

つまり

従来のプロジェクト規模なら
機能していた方式が

これまでにない『大規模で複雑』という
環境要因によって従来の勝ちパターンに
はまらなくなっていたんじゃ
ないかなということです。

ここから何がいいたいのかというと

このことはどの組織にもチームにも
簡単に起こりうるということです。

この瞬間にも、1時間後にも、明日にもです。

ですから、今取り入れている方法が
適切であるか?ということを
常に考えるクセをつけておくことが
大事だということですね。

何か大きな変化があったときは
とくに注意が必要です。

勝ちパターン(=体系・仕組み)とは
うまくいくための 状況・環境条件
そのメカニズムみたいなものをいいます。

方法とは本来、「操作・進め方」です。

目的・目標に対する勝ちパターンと
セットになって、はじめて
「勝てる方法」になるんですよね。

ですから

今あるもの・今ある環境・今ある状態
において、どうしたらうまくいくのか?
ということを考えることが重要だと
いうことです。

その上で各々の役割を明確にして
いただけたらなというふうに思っています。

ポイントは

「なぜうまくいかないのか?」ではなく

目的・目標に対して
どうしたらうまくいくのか?」と
考えることです。

これをポジティブアプローチといいます。

なぜ「なぜうまくいかないのか?」が
いけないのか?

とても大きな理由がありますが
この話しはまた別の機会にしたいと思います。

いかがだったでしょうか?

是非ですね
成果をあげる組織づくりのために
今の方法は機能しているのか?ということを
常に意識しながら

うまくいく、 方法 × パターン

について考えていただけたらな
というふうに思っています。


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